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【紹介】人権侵害申立書

宮下公園「整備計画」についての全体像なり、背景が私たちの力不足もあってどうも伝わっていない感が否めません。

2008年11月23日に渋谷警察署の警察官が渋谷駅周辺や宮下公園のホームレスに対して写真撮影や市民採取をしたという事件が起きて【参考】写真撮影と追い出しとの関係は?【参考】渋谷警察署による写真撮影、指紋採取に対しての意見書などで抗議があったことは説明しました。

渋谷警察署が具体的に何をしたのかは、日弁連の人権擁護委員会に出された人権申立書に具体的に書かれています。紹介します。

                                  人権救済申立書
                                                          2008年(平成20年)12月18日

日本弁護士連合会人権擁護委員会 御中
申立人  
     A氏
     B氏
     C氏
     D氏
     E氏

上記申立人ら代理人
弁護士  ○○
  同   ×× 
                                      
相手方 警視庁渋谷警察署長

第1 申立ての趣旨

1 相手方は,2008年(平成20年)11月13日ころ以降に警視庁渋谷警察署所属の警察職員がその管轄区域内において行った,野宿生活を行っている者に対する職務質問,所持品検査,指紋採取ならびに写真撮影行為が違憲違法であったことを認めよ
2 相手方は,上記1の行為の対象となった者に対し,上記の指紋採取等の行為を行った点について謝罪せよ
3 相手方は,すみやかに上記1の行為によって得られた指紋、写真(ネガ、データ等を含む)等一切の個人情報を廃棄せよ
4 相手方は,野宿生活を行っている者に対し,今後,上記1の行為を一切行わないことを約束せよとの警告を求める。

第2 申立ての理由

1 当事者
(1)申立人ら
申立人らは,渋谷駅周辺をはじめとして公園,陸橋上及び高架下等を就寝場所とする野宿生活者である。
(2)相手方
相手方は,申立人らの居場所を含む地域を管轄する警視庁渋谷警察署の署長であって,警視総監,警察本部長,方面本部長の指揮監督を受け,その管轄区域内における警察の事務を処理し,所属の警察職員を指揮監督する者である(警察法53条)。

2 人権侵害の事実
(1)全体的な事実の概要
2008年(平成20年)11月13日午後2時ころ,制服着用の警察官が2名1組で渋谷区神宮前6丁目所在の宮下公園内に申立人らが起居寝食を行うテントを1件1件訪問し,そこに居住する野宿者に対し,「追い出しとは関係ないから。」「救急車に運ばれたとき,名前がわからないと困るから。」などと話しかけ,野宿者の氏名や本籍地などを聴取し,持参したカメラでその顔写真を撮影し,左右掌全指の指紋を採取した。

また,職務質問及び所持品検査に応じるよう求め,続いて指紋採取及び写真撮影に応じさせるという行動が,上同日から,JR渋谷駅構内周辺,渋谷区宇田川町周辺,宮下公園及びその周辺で,昼夜を問わず無差別に繰り返し行われた。道路上等で職務質問を求められた場合には,そのまま最寄りの交番まで連行され,抵抗できないままに指紋及び足紋採取,写真撮影,所持品検査がなされることもあった。

(2)個別的な事実の概要
?申立人A,同B
申立人A,同Bは,2008年(平成20年)11月20日(木)午後9時頃,申立人ら2名のほか路上生活者9人とともに児童会館前において就眠しようとしたところ,制服着用の警察官2名がやってきて,その場にいた11人全員に対し「凍死するかもしれず,何かあったら困るので,名前・本籍・生年月日を教えて欲しい。」と説明し,それぞれから聴取を行ったうえ,警察官が所持していたデジタルカメラで各当事者の上半身を撮影した。

?申立人C
申立人Cは,2008年(平成20年)11月15日午後12時頃,宮下公園陸橋で段ボールに座っていたところ,警察官から「死んだら困るので」との理由で,名前,本籍,生年月日を聴取され,正面と左斜めから写真を撮られた。

?申立人D
 2008年(平成20年)11月21日(木)午前10時頃,渋谷駅前のハチ公付近に歩行中,「何ふらふらしているんだ。どこに行くのか。」と制服警察官2名に呼び止められた。「どこでもいいじゃないですか。」と申立人Dが答えると,いきなり駅前交番まで連行され,名前と本籍を聞かれた上で,左右10指の指紋を採取された。複数の警察官に囲まれ,申立人Dが指紋採取を断ることができなかった。

翌日,11月22日(木)午後4時頃,渋谷区神南町付近を歩いていたところ,別の警察官2名に呼び止められ,「指紋と写真をとりたい。」と声をかけられた。申立人Dは,既に前日に指紋採取に応じたことを告げたが,「交番が違うから関係ない。」と強引に宇田川交番に連行された。そして名前,本籍を聞かれ,指紋と写真を取られたうえ,足紋まで要求してきたので,「なんで必要なのか,犯罪者でもないのに。」と聞いたが,回答はなかった。

?申立人E
申立人Eは,11月16日夜11時頃,宮下公園付近において歩行中,制服警察官3名から,「職務質問したい。最近事件が多いから危ない物をもってないか調べさせてほしい。」と声をかけられた。申立人Eは,「荷物ぐらいはいいよ。」と言って荷物を渡し,これに応じた。すると,その後,声をかけてきた警察官は,「写真と指紋を取らせてほしい。本籍を教えてほしい。」と述べたため,申立人Eは不審に思い,「職務質問だけだろ?何で荷物検査と言ったのに指紋が必要なの?」と尋ねたところ,警察官は,「これから寒くなるから殺されたり,死んだときのために誰かわからないと困るからとらせてほしい。」とのことであった。申立人Eは,指紋を採るという犯罪者のごとき扱いをされることに憤慨し,「何でとるの?犯罪者みたいな扱いじゃないか?警察なんだから写真と本籍があれば死んだときに調べられるだろう?写真と本籍はわかるけど何で指紋まで必要あるの?」などと繰り返し訪ねたが,警察官は同様の言を繰り返すのみであったため,押し問答になった。申立人Eが,「役所やナイキから頼まれてホームレスいびりしてんだろ。」と述べたところ,警察官は立ち去った。

11月20日ころ,午後11時ころ,上記と同じ場所で,申立人Eが歩行中,制服着用の警察官2名が,上記と同様,職務質問を所持品検査に応じることを求め,申立人Eはこれに応じた。すると,警察官らは,「とにかく必要だ。」などと述べ申立人Eに対し指紋の採取,写真撮影,本籍地の聴取に応じるよう執拗に求め,申立人Eが「強制じゃないだろう。」と尋ねても「とにかく必要だ。」などと述べ,申立人Eを立ち去らせないようその歩行につきまとうなどした。申立人Eが,「犯罪者じゃないんだから指紋は取らせないよ。」と答えたところ,警察官の一人が突然デジタルカメラのようなものを申立人に向けフラッシュを焚き写真撮影した。申立人Eは,その後も引き続き本籍を告げるよう執拗に求められ,やむなく自己の本籍を告げたところ,警察官らはそのメモを取って立ち去った。

12月7日の夜分,宮下公園の高架下にある公衆トイレにおいて,制服警察官2名が申立人Eに対し,職務質問を求めた。申立人Eは,指紋採取や写真撮影に応じる義務がないことを説明した申立代理人○○弁護士作成の説明チラシを支援団体から受け取っていたため,これを提示して,「弁護士に言ってくれ。じゃあね。」と言って後ろを向いて2,3歩歩き出した。すると,警察官は突然申立人Eの背後からその肩をつかみ,「職務質問しているのだから逃げるな。やましいことをしてるわけじゃないんだろ。」「やましいことをしていないんだったら応じろ。職務質問は法律で守られている。この紙を書いているのは弁護士で本人とは関係ない。国賠をしたいならしてくれ。」など強硬に述べた。申立人Eは,抵抗できないと思い,所持品検査に応じた。

3 人権救済の必要性
(1)職務質問及びこれに付随する所持品検査の違法性
 警察官職務執行法第2条1項は,「警察官は,異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し,若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又はすでに行われた犯罪について,若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問させることができる。」と規定しており,職務質問を行うためには,犯罪行為と関連するような不審事由が必要である。

今回の渋谷警察署の野宿生活者に対する職務質問行為は,渋谷駅周辺,宮下公園周辺などで野宿生活している人々に対して無差別に行われたものと言わざるを得ない。

しかし,野宿生活であることは,上記「相当な理由」の存在を帰結するものではない。

今回の渋谷警察署警察官による職務質問行為は,あたかも野宿生活を送ることが何らかの犯罪に関わっていると決めつけるがごときであり,野宿生活を余儀なくされている者に対する不当な偏見,差別に基づくものであることは明らかであり違法性は明白である。

(2)指紋採取の違法性
ア 指紋押捺を強制されない権利
指紋は,個人情報であり,正当な理由なく指紋の押捺を強制することはプライバシーの権利を侵害するものであり許されない。

判例上も,「指紋は,指先の紋様であり,それ自体では個人の表生活や人格,思想,信条,良心等個人の内心に関する情報となるものではない」としつつも,「性質上万人不同性,終生不変性をもつので,採取された指紋の利用方法次第では個人の私生活あるいはプライバシーが侵害される危険性がある」として指紋の持つ個人情報としての重要性を認めた上で,「憲法一三条は,国民の私生活上の自由が国家権力の行使に対して保護されるべきことを規定していると解されるので,個人の私生活上の自由の一つとして,何人もみだりに指紋の押なつを強制されない自由を有するものというべきであり,国家機関が正当な理由もなく指紋の押なつを強制することは,同条の趣旨に反して許されず,また,右の自由の保障は我が国に在留する外国人にも等しく及ぶと解される(最高裁昭和40年(あ)第1187号同44年12月24日大法廷判決・刑集23巻12号1625頁,最高裁昭和50年(行ッ)第120号同53年10月4日大法廷判決・民集32巻7号1223頁参照)。」とする(最高裁平成7年12月15日第三小法廷判決,刑集49巻10号842頁)

みだりに指紋押捺を強制されない自由は,判例上も確立された権利なのである。

イ 個人の容ぼう等をみだりに撮影されない権利
個人の容ぼう等をみだりに撮影されない権利は,肖像権として憲法上保障された基本的人権である。
最高裁判所も,警察官が,正当な理由もないのに,個人の容ぼう等を撮影することは,憲法一三条の趣旨に反し,許されないと明言する(京都府学連事件,最高裁昭和44年12月24日大法廷判決,刑集23巻12号1625頁)。

上記最高裁判例は,「個人の私生活上の自由の一つとして,何人も,その承諾なしに,みだりにその容ぼう・姿態(以下「容ぼう等」という。)を撮影されない自由を有するものというべきである。」とし,「これを肖像権と称するかどうかは別として,少なくとも,警察官が,正当な理由もないのに,個人の容ぼう等を撮影することは,憲法一三条の趣旨に反し,許されないものといわなければならない。」(京都府学連事件,最高裁昭和44年12月24日大法廷判決,刑集23巻12号1625頁)などと判示している。

ウ 本件は,指紋押捺及び写真撮影が強制強要されていること
申立人らは,いずれも,複数の制服警察官に取り囲まれ,ある者は拒絶の意思を表示したにもかかわらず執拗につきまとわれ,ある者は交番に連行され,もはやそれ以上の抵抗が不可能な状態で指紋採取等に応じさせられたり,あるいは意思確認すらなされることなくその容ぼうを写真撮影されたものである。

法律を知らない者,とくに社会的弱者の地位にある路上生活者にとって,複数の警察官から執拗に要求されたことを断ることはおよそ不可能である。

今回の指紋採取,写真撮影等は,その意味で,到底任意とはいいえず,実質的な強制を含むものというべきである。

(3)野宿生活者に対する不当な偏見と差別
このように,本件における指紋採取ならびに写真撮影等を法的に正当化すべき根拠は何ら存在しない。

この点につき,渋谷警察署の担当者は,今般の事態について説明を求めた支援団体の関係者に対し,今般の指紋押捺,写真撮影は,あくまで任意であり,野宿生活者が凍死した場合の身元確認のために必要であるから行っているなどと回答し,根拠法令として,刑事訴訟法229条(検視)を挙げた。

しかしながら,同条は,「変死者又は変死の疑のある死体」に対する検視について定めたものであり,しかも検察官からの受命を要件に司法警察員が行い得るに過ぎない(同条2項)。

本件では,検察官による受命もなければ,司法警察員でない警察職員が行っていた可能性も多分にあるが,なによりも,野宿生活者が,「死体」にあたらないことは明らかである。

このような渋谷警察署の対応は,野宿生活者に対する重大な侮辱であってその尊厳を蹂躙するものである一方で,野宿生活者に対する根強い差別ないし蔑視の表れであるが,いずれにしても到底許しがたいものである。

(4)小括
以上のとおり,渋谷警察署警察官による今般の指紋押捺,写真撮影等の強制は,対象となった野宿生活者の基本的人権を著しく侵害するものであり,違憲,違法である。

4 結語
今般の指紋採取等は,警視庁渋谷警察署所属の警察職員を挙げて大規模かつ組織的に行われており,これを指揮監督する立場にある相手方の責任は非常に重大である。
よって,申立の趣旨記載の警告を求めるものである。
以上

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Author:よもやま話編集委員会
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