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宮下公園国賠控訴理由書

宮下公園国賠の控訴理由書です。氏名・住所等は伏せ字にした部分があります。

平成27年(ネ)第2104号 損害賠償控訴事件
控訴人(第一審被告) 渋谷区
被控訴人(第一審原告)●●●●

控訴理由書

平成27年6月12日

東京高等裁判所第2民事部 御中

控訴人指定代理人 山田幸男 印
同           小池浩三郎 印
同           後藤健志 印
同           中谷ゆかり 印(代理後藤)
同           吉武成寛 印(代理後藤)
同           小林稔 印(代理後藤)
同           藤本嘉宏 印(代理後藤)
同           三河一博 印(代理後藤)
同           島田直子 印(代理後藤)

 控訴人(第一審被告)の控訴理由は、以下のとおりである。なお、略語等は、本書面において新たに用いるもののほか、原判決の例による。

第1 事実誤認ないし評価又は判断の誤り

 1 原判決は、「第2 事案の概要」「1 概要」「(2)」として、「本件は、原告らが、①原告●●を宮下公園から強制排除した被告の行為は違法である、②本件計画は議会の議決を経ていない等の違法があり、本件計画を実施することを目的に行われた行政代執行(以下「本件代執行」という。)はその違法性を承継する、③本件代執行は弁明の機会が付与されておらず、違法であり‥と主張」(原判決書3頁12行目ないし20行目)するとして、控訴人(第一審被告)の不法行為を「原告●●を宮下公園から強制排除した被告の行為」と「本件代執行」であると判断している。
 しかし、原判決には、下記2、3及び4に掲げる3つの点において、事実誤認ないし評価又は判断の誤りがある。

 2  「争点2 (原告●●の退去に関する違法性)」における誤り
  (1) 原告●●の退去が「直接強制」であるとの評価について
    原判決は、「原告●●の退去」について、「‥警備員4人が各々原告●●の両肩及び両足をつかんで担ぎあげた状態で6番  ゲートの外に移動した上、原告●●は降ろされた」(原判決書25頁4行目ないし18行目)と事実認定した上で、「‥被告は、原告  ●●の意に反し、原告●●を無理矢理担ぎ上げて宮下公園から退去させており、これは退去命令を直接強制したと評価するほ  かない、国家賠償上違法であると認められる」(原判決書30頁18行目ないし20行目)と判断した。

   しかし、原判決の上記部分には、事実誤認及び判断の誤りがある。
 ア その理由は、原判決は、「原告●●を無理矢理担ぎ上げ」たことを理由に、直接強制であると評価しているが、かかる「担ぎ  上げ」は「原告●●の退去」においては全体の一部分のみであって、「原告●●の退去」についての正確な事実認定・評価とは  いえないからである。原判決は、「担ぎ上げ」という一部のみを取り上げており、被控訴人(第一審原告)の安全確保のためには「 担ぎ上げ」もやむを得なかった、それまでの行為態様等を考慮していない点において、事実誤認がある。
  客観的な映像である乙第74号証によれば、山中は、映像の2分54秒から被控訴人(第一審原告)に立入禁止区域であることを 何度も説明し、退去を促し、同人の手が手すりから離れた後、同人は映像の14分45秒から15分31秒までは自らの足で歩き、同 時刻から15分54秒までは警備員らに担ぎ上げられている。
  被控訴人(第一審原告)の説得にかけた約15分51秒間、同人が自ら歩いた時間は約46秒間、同人が担ぎ上げられた時間は  約23秒間であり、しかも、同映像15分29秒の部分では、被控訴人(第一審原告)は坂道で右足のバランスを崩しており(仮に故  意に躓いているとすれば悪質である。)、警備員らはそれを支えるようにして、しかも、扉付きガードフェンス(15分36秒部分)に躓 かないよう、被控訴人(第一審原告)を担ぎ上げているのである(乙第77号証。当該映像では、被控訴人(第一審原告)の背後に 扉付きガードフェンスが認められる。)。
  したがって、かかる担ぎ上げは、主として、被控訴人(第一審原告)の安全確保のためなされたと解するのが相当であって、こ  れを捉えて直接強制とするのは不当である。

 イ なお、業務妨害罪の成立要件である業務(の要保護)に関する事案ではあるが、最高裁決定(平成14年9月30日第1小法廷 決定・刑集56巻7号395頁)の示した基準は、民法上の正当防衛又は自救行為が許される業務の正当性ないし必要性について も、妥当するところである。
  上記最高裁決定の趣旨によれば、(原告●●の退去に係る)業務に瑕疵があるか否かは、①工事の公共性の有無、②路上生 活者の無権原性、③路上生活者の権利侵害の程度、④工事の手続面、⑤代替措置の提供、⑥他の適法な手段を採ることの   困難性等の要素が考慮されるところ(『最高裁判所判例解説刑事篇平成十四年度』192頁ないし193頁)、本件では、以下のとお り、上記考慮要素をいずれも充たしている。
 (ア) 上記①に該当する事実として、傷んだ高木の倒伐を防ぐための公園の植栽剪定作業等という工事の公共性がある(乙第7  1号証1頁ないし2頁)
 (イ) 上記②に該当する事実として、被控訴人(第一審原告)は都公法6条に違反して宮下公園を占用等していた。
 (ウ) 上記③に該当する事実として、原判決が問題視する「担ぎ上げ」には正当な理由があり、しかも、その時間は僅か約23秒  間であって、その権利利益の侵害の程度は高くない(上記ア)
 (エ) 上記④に該当する事実として、ホームレスに対する相談会(原判決書23頁1行目ないし4行目)及びテント等の除去に関す  る勧告等がなされていた。
 (オ) 上記⑤に該当する事実として、ホームレスに対しする相談会(原判決書23頁1行目ないし4行目)がなされていた。
 (カ) 上記⑥に該当する事実として、「原告●●の退去」の際は、宮下公園は一部利用禁止となっており、退去命令により被控   訴人(第一審原告)を直ちに退去させなければ、同人が公園内に閉じ込められ、また、工事による傷害等の危険があり、また、  原判決が問題視する「担ぎ上げ」には正当な理由があった(上記ア)

(2) 控訴人(第一審被告)職員らの行為の緊急性及び相当性について
 原判決は、「原告●●の退去」に係る被告職員らの行為(「担ぎ上げ」)について、退去命令に付随する行為として一切許されないわけではないが、かかる控訴人(第一審被告)職員らの行為には、緊急性、相当性がないから、国家賠償法上も違法であるとも判断する。しかし、かかる判断には誤りがある。
なぜなら、「原告●●の退去」に係る控訴人(第一審被告)職員らの行為(「担ぎ上げ」)については、次のとおり緊急性及び相当性があるからである。
ア 直ちに樹木剪定に着手すべきであったこと
  宮下公園の地盤は、保水能力が元々低かったところ、平成22年は猛暑で、宮下公園内の樹木の痛みが激しく、高木が倒伏し たり枯れ枝が園外に落下したりするおそれがあった(乙71号証1頁ないし2頁)。宮下公園は、西側に山の手線、東側に明治通り が位置し、園外に高木が倒伏することがあれば、大惨事になることが想定される危険な状態であった。
  以上のことから、「原告●●の退去」がなされた平成22年9月15日の朝、公園を一部閉鎖して、公園の植栽剪定作業を行う「緊 急やむを得ない事情」はあった。
イ 被控訴人(第一審原告)の身体の安全のために退去が必要であったこと
  「原告●●の退去」がなされた平成22年9月15日朝、公園の植栽剪定作業を行うための宮下公園一部閉鎖作業が既に始まっ ており、被控訴人(第一審原告)が公園内に留まることは非常に危険であり、「緊急やむを得ない事情」があった。かかる事情の 存在は、「午前6時40分頃に、造園業者が到着して剪定作業に取り掛かりました」(乙第71号証3頁)、「午前6時50分頃から扉、 バリケード、鉄管等の資材の搬入が開始されました」(乙第72号証6頁)、「朝、テントの中で寝ていたところ、鉄パイプのぶつかる 音で目が覚めました」(甲第78号証2頁)の各供述から裏付けられる。
ウ 被控訴人(第一審原告)の担ぎ上げは相当性の範囲を逸脱していないこと
  上記(1)のとおり、かかる担ぎ上げは、主として、被控訴人(第一審原告)の安全確保のためなされたという正当な理由があり、 しかも、その態様も、被控訴人(第一審原告)が扉付きガードフェンスに躓かないよう、当該フェンスを通過する前後の僅か約23秒 間の担ぎ上げであり、被控訴人(第一審原告)の安全確保のため必要な限度である。また、「原告●●の退去」を全体として考察 すれば、被控訴人(第一審原告)は警備員に体を任せており、穏当なものと評価されうるから、「相当性の範囲を逸脱」していない 。
(3) 以上のとおりであるから、「原告●●の退去」に係る被告職員らの行為は国家賠償法上の違法はなく、したがって、これを違 法とした原判決の判断には誤りがある。

3 「争点1-1(地自法96条1項9号違反の有無)」における誤り
 原判決は、「争点1-1(地自法96条1項9号違反の有無)」として、本件契約の締結は「負担付きの寄付又は贈与を受けること」に該当したにもかかわらず、控訴人(第一審被告)が議会による議決を経ていないから、地自法96条1項9号に違反した違法があると判断する(原判決書27頁5行目ないし20行目)。
 しかし、被控訴人(第一審原告)の「本件計画の一連の実施過程の一つである本件契約は、地自法96条1項9号に違反する」との主張は、財務会計上の行為の違法を主張するもので、地自法242条の2所定の住民訴訟でなければおよそ争い得るものではないことに加え、上記判断は、本件契約の評価を謝ったものである。
 なぜなら、本件契約は、控訴人(第一審被告)が「施設の命名権」(ネーミングライツ)という、控訴人(第一審被告)の普通財産(地自法238条1項5号及び同条4項)を、ナイキに対して、10年間、使用させ(宮下公園で行われるイベントの主催者等に通称名を使用させることも含む。)、その対価として、ナイキは、控訴人(第一審被告)に対して、公園を整備して引き渡すとともに毎年度1700万円を支払うという内容であり、控訴人(第1審被告)がナイキに「施設の命名権」(ネーミングライツ)を使用させる義務と、ナイキが上記使用に対して公園整備・引渡しを行い、毎年度1700万円を支払う義務は対価的均衡の関係にあるのであって、賃貸借契約類似の無体財産権に係る有償双務契約と評価すべきだからである。
 そして、普通財産を貸し付けることは地自法上認められており(地自法238条の5第1項)、地自法96条1項6号は、「条例で定める場合を除くほか、財産を‥適正な対価なく‥貸し付ける」場合に、議会の議決を要する旨定めている。本件契約は、「ナイキが、自らの負担により宮下公園の公園施設を改修及び新設した上で被告に引き渡し、被告に対し毎年度1700万円を支払う」(原判決書27頁6行目ないし7行目)というものであって、賃料の支払の一部が公園の整備に替わったものであるに過ぎず、「適正な対価」を得た貸付、具体的には、普通財産の賃貸借契約類似の無体財産権に係る有償双務契約であることは上記のとおりであり、同号違反の問題も生じない(なお、かかるネーミングライツ契約は、他の自治体においても一般的におこなわれているところでもある。)。
 原判決は、控訴人(第一審被告)の義務について、ナイキに対しネーミングライツを付与することを承認する義務及び宮下公園で行われるイベントの主催者等に対して通称名を使用することを義務付ける義務であると認定した上で、ネーミングライツが財産的価値のあるものである以上、当該義務が「負担」に該当することは明らかであると判断するが、ネーミングライツに財産的価値が認められることから上記結論を導く論理の趣旨が不明である上、上記対価的均衡を看過ごしているといわざる得ない。負担付贈与といえるためには、負担が受贈者の受ける贈与の財産的価値よりも小さなものでなければならないと解されてているのであるから、本件契約が負担付贈与に当たらないことは明らかである。
 よって、本件契約は、地自法96条1項9号はもとより、同項違反は生じ得ないから、本件契約に対する原判決の評価は謝っており、また、これを違法としたその判断も誤っている。

4 「争点1-2(地自法234条2項の趣旨違反の有無)」における誤り
 原判決は、「争点1-2(地自法234条2項の趣旨違反の有無)」として、最高裁昭和62年3月20日第2小法廷判決(以下「昭和62年最判」という。)で示された判断枠組に照らして、本件契約は、随意契約の方法によることができないにもかかわらず、これに拠ったから、地自法234条2項に違反した違法があると判断する(原判決書29頁21行目ないし23行目)。
 しかし、被控訴人(第一審原告)の「本件計画の一連の実施過程の一つである本件契約は、地自法234条2項に違反する」との主張は、財務会計上の行為の違法を主張するもので、地自法234条2項の解釈を誤ったものである。
 なぜなら、原判決は昭和62年最判の例外として随意契約が認められると合理的に判断される場合の、当該地方公共団体の契約担当者の考慮事項、すなわち、本契約の内容、性質、目的等の諸般の事情を十分考慮することなく、単に、控訴人(第一審被告)が渋谷公会堂等のネーミングライツを導入するに当たり公募を行っている事実のみを捉えて、随意契約が認められない旨の判断をしていると解されるからである。
 本件契約は、「収入」を得ることのみを主目的に「施設の命名権」(ネーミングライツ)についての賃貸借契約類似の契約を締結したものではない。本件契約は、その第1条にあるとおり、「乙(ナイキ)の地域貢献により公園設備の整備及び公園の維持管理の充実」という目的のもと、ナイキというスポーツ分野における世界的な企業としてのブランド、知名度(乙第7号証2枚目「○イメージ向上」の欄参照)や、既に26カ所のバスケットボールコートを寄贈した(乙第7号証2枚目「○安定運営」の欄参照)というノウハウ等を活用した、「公園全体をスポーツ施設を中心とした形態に再整備する計画であり、公園の価値向上が大いに期待できる」(乙第7号証2枚目「○イメージ向上」の欄参照)という性質・内容の契約なのである。
 そして、本件契約を締結するに当たっては、控訴人(第一審被告)は、選定委員会を設置し、その会議による検討を経て、複数の提案を比較して契約業者を決定しており(原判決書20頁24行目ないし22頁25行目)、競争原理を取り入れ、法令が求めている入札の趣旨を反映した、すなわち、公正性、経済性等を確保し得るという選考過程を経ている。
 これらの本件契約の種類、内容、性質、目的等諸般の事情を考慮すれば、本件契約は、地自法施行令167条の2第1項2号に掲げる「その性質又は目的が競争入札にてきしないものをするとき」に当たるというべきものであって、かかる契約担当者の裁量判断は、随意契約とした契約相手方のノウハウの蓄積、ブランド力等に着目して、同号に該当するとした他の裁判例の判断にも符合するものであって(東京地裁21年3月26日判決(乙第78号証)・その控訴審たる東京高裁平成21年8月5日判決(乙第79号証))、合理的であると優に認められる。
 以上のとおり、本件契約を随意契約としたことについての契約担当者の裁量判断に逸脱又は濫用の違法はないから、地自法234条2項に違反することはなく、これを違法とした原判決には、本件契約に対する評価及び昭和62年最判に基づく地自法234条2項の解釈の誤りがある。

5 なお、上記3及び4の点について、被控訴人(第一審原告)からは、時期に後れた攻撃防御方法であるとの反論も考えられるが 、かかる反論は当を得ない。なぜなら、控訴人(第一審被告)が上記3及び4の点についての十分な防御を尽くすことが事実上できなかったのは、原告の地自法違反に関する主張(「本件契約の違法が本件計画の一連の実施過程の違法性を根拠付ける」)を整理しきれないまま、原審が進行したからである。

第2 結語
 以上述べたとおり、原判決には、事実誤認ないし評価又は判断の誤りがあるから、不当なものであって、取り消されるべきものである。
以上
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