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宮下公園国賠控訴答弁書

渋谷区の宮下公園国賠控訴に対して非控訴人(1審原告側)の控訴答弁書です。被控訴人の氏名など伏せ字にしています。

平成27年(ネ)第2104号
被控訴人 ●●●●
控訴人   渋谷区

控訴答弁書

2015年8月20日

東京高等裁判所第2民事部 御中

被控訴人訴訟代理人 弁護士 小島 延夫 代
              弁護士 山本 志都 代
              弁護士 戸舘 圭之 印

控訴の趣旨に対する答弁

1 本件控訴を棄却する
2 控訴費用は控訴人の負担とする
との裁判を求める。

控訴理由に対する反論

第1 はじめに

1 原判決の意義
 原判決は、控訴人が行った宮下公園ナイキ化計画に伴う一連の手続についての違法性を明確に指摘した上で被控訴人●●に対する強制排除、暴力行為を法が禁止している直接強制に当たると認定し、国賠法上違法な行為と断じた。
 原判決が、控訴人による不法行為を認定し損害賠償請求を一部ではあるが認容した点は積極的に評価されるべきであり、この点に関する控訴人の主張は以下に述べるとおり理由がなく速やかに棄却されるべきである。

2 控訴人渋谷区長長谷部新区長がうちだしているホームレス施策
 原判決後、新たに渋谷区長に就任した長谷部健区長は、区長就任以前は渋谷区議会議員であったが、本件で問題となっている宮下公園ナイキ化計画を提案し推進していた張本人でもある(原審で、原告らは同人を証人として申請していた)。
 その長谷部区長は、一方では、いわゆるLGBTとよばれる性的マイノリティの同性パートナー関係について公的な証明書を発行するというパートナーシップ条例の制定を前区長(桑原区長)とともに推進しながら、本件訴訟でも問題となっている野宿者(ホームレス状態にある人々)の公園からの排除などの人権侵害行為を推進していたことから、区長選の前後を通じ各方面から「同じマイノリティであるのに、ホームレスだけは差別し排除するのか。」「ダブルスタンダードではないのか」などとの批判があった。
 これを受けて、長谷部区長は、本年6月に「渋谷区ホームレス支援プロジェクト事業に係る意見交換会」なるものを実施し、有識者ら(この有識者らには他区のいわゆる生活困窮者支援団体の役員らも参加しているが、一審原告のじれんなどをはじめとする渋谷区内で活動している者は参加していない。)を集めて意見交換を実施している(かかるプロジェクトはその後「アイ リブ シブヤ」プロジェクトと名付けられている。)。
3 本件控訴を取り下げ、一審原告らに謝罪をすべきである
 このように控訴人渋谷区は、長谷部新区長の下、対外的には、野宿者、ホームレス状態にある人々を「排除」していないなどと言明し、人権に配慮したかのような施策を「ホームレス支援」として行っているようである。
 しかしながら、控訴人が長谷部新区長の下、本当に、野宿者の人権を尊重し、野宿者を排除しない政策を実行するのであれば、まず行うべきは、原審が認定したとおり、違法な直接強制により公園から野宿者を排除した行為を真摯に反省し、被害者らに謝罪を行うことである。本件について控訴し、それを維持していること自体が、控訴人の野宿者に対する姿勢にいささかも変更のないことを示している。

第2 被控訴人●●に対する違法な強制排除、実力行使(直接強制)について

1 控訴人(渋谷区)の主張について
 控訴人は、原判決が、被告職員らが被控訴人●●に対して行為を「直接強制」であると評価したこと自体が誤りであり、「被控訴人の安全確保のためには『担ぎ上げ』もやむを得なかった、それまでの行為態様等を考慮していない点において、事実誤認がある。」などど主張している。

2 被控訴人の行為の違法性は明らか
 しかしながら、原判決は、被告訴人の被った強制排除の際の暴力行為、傷害行為について過小評価している部分はあるものの、控訴人が不法行為を行ったという点については何らの事実誤認はなく、控訴人の主張は失当である。
 控訴人は、被控訴人の「安全確保のため」であったと強弁するが、映像証拠の画面をつぶさに見ても、控訴人らは抵抗する被控訴人を無理やりに公園外に排除したことは明らかであり「安全確保」などといった被控訴人に配慮した形跡は一切みられない。控訴人が真に被控訴人の安全を考えていたのであれば、そもそも本件強制排除行為を行わなければよかっただけの話である。
 原判決は、本件当日の一連の経過を控訴人渋谷区が訴訟の終盤に至ってようやく提出した映像証拠(乙74、乙75、甲89)等の客観証拠から詳細に事実認定した上で、「しかし、その後被告は、原告●●の意に反し、原告●●を無理やり担ぎ上げて宮下公園から退去させており、これは退去命令を直接強制したと評価するほかなく、国家賠償法上違法であると認められる。」と判示しているのであり、控訴人がいうところの「それまでの行為態様等」も当然踏まえた上で結論を導き出している。そこに何らの事実誤認はない。

3 行為が短時間であったとの控訴人の主張について
 控訴人は「担ぎ上げ」が「僅か約23秒間」であったなどと主張し、自らの行為を正当化しようとしている。しかし、本件において問われるべきは、控訴人ら職員が被控訴人●●のもとを訪れてから公園外に強制的に排除するまでの一連の行為であり、「担ぎ上げ」た一部分のみを切り取って事案を評価するのは本来適切ではない。
 映像証拠(乙74、乙75、甲89)をみれば明らかであるが、控訴人職員らは、複数名で執拗に被控訴人●●を囲い込み、嫌がる同人を暴力的に排除しているのであって、本来であれば、係る一連の行為全体が違法な自力救済ないし直接強制として国賠法上の違法が問われるべきである。
 したがって、「担ぎ上げ」が「僅か約23秒間」であったことは控訴人の責任を否定する理由にはなりえない。そもそも、原判決は、一審原告●●が警備員4名に担ぎ上げられて強制的に退去されされた行為について「その時間は短」かったしても現行法上許されない直接強制に当たり国賠法上違法になると判断しているである。原判決な、損害額の認定において「その時間は短」いという事情を一審原告主張の精神的損害額の減額の根拠としているのであり(原判決39頁参照)、時間が短かった事実を控訴人の行為を正当化する根拠にはしていない。

4 現行法は「直接強制」を許容していない。
 原判決は、被告職員の被控訴人に対する行為は、法律上禁止されている「直接強制」(義務者が行政上の履行をしないときに、権利者たる行政主体が、義務者の身体又は財産に直接力を行使して、義務の履行があった状態を実現するもの)に当たると認定している。
 現憲法下における行政法体系上、法令に根拠規定があるごく僅かな例外(学校施設の確保の関する政令21条、新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法3条8項)を除いて、直接強制は禁止されている。
 これは戦前の大日本帝国憲法下における行政執行法5条3項では、直接強制が明文で認められており、かかる規定を根拠に人権蹂躙、人権侵害が横行したことの反省に基づくものである。
 本件において、控訴人は、法令の根拠もなく、直接強制を行ったのであるから、控訴人渋谷区の人権無視の姿勢は顕著であり、かかる行為が国賠法上違法の評価を受けると認定した原判決の判断は極めて妥当である。

第3 争点1-1及び1-2に対する控訴人の主張について

1 控訴の利益がない
 控訴人は、争点1-1及び1-2に対して、自らの主張を述べている。しかし、控訴人は、これらの争点について控訴の利益を有しておらず、これらの点に対する控訴人の控訴は不適法として却下されるべきである。
 そもそも、控訴人は、第一審判決に対して不服を有しているのでなければ控訴できない。そして、この不服の有無は既判力の及ぶ範囲を基準として判断される。なぜなら、裁判所が与えた権利保護の内容は、裁判が確定した場合に生じる既判力の内容から明らかになるものであり、既判力は裁判の中心的な効力だからである。よって、既判力の生じない判決理由中の判断については、上訴を提起してその変更を求めることはできない(最判昭和31年4月3日民集10巻4号297頁)。
 原審は本件計画の違法性を争点1とし、その中に、本件契約締結が地方自治法96条1項9号「負担付きの寄付または贈与を受けること」にあたるか(争点1-1)、地方自治体の行う契約は「契約」にあたるか(争点1-2)という争点を整理している。原審はこれらについて、それぞれあたるという判断を示し、結論として本件契約締結についての違法性を肯認した。しかし、原審は、一方で、本件契約の違法性は本件代執行に継承されないとすることで、一審原告らの損害賠償請求を斥けている(被控訴人●●は4名に担ぎあげられて強制的に退去させられたことによる慰謝料が別途認められた)。つまり、争点1についての原審の判断は判決理由中の判断であり、原審による既判力が生じている給付義務の存在には関係しないのだから、この点について、控訴人は控訴の利益を有しないのである。

2 時機に遅れた攻撃防御方法である
 被控訴人は、これらについて、当審において新たな主張を行い、これが「原告の地自法違反に関する主張(『本件契約の違法が本件計画の一連の実施過程の違法性を根拠付ける』)を整理しきれないまま、原審が進行したから」時機に遅れた攻撃防御方法にあたらない、と、裁判所に責任を転嫁している。
 しかし、被控訴人らの主張は、まさに時機に遅れた攻撃防御方法にあたる。争点1については、原審で当初から原告が主張しており、平成23年9月2日付の原審被告準備書面(1)でも反論されている。一審被告は、同日の口頭弁論期日で「現時点で出すべき主張は出した」と述べている。2012年3月9日の第5回口頭弁論期日では、裁判所から一審被告に対し、地方自治法96条1項9号について一審原告らの主張に対する反論を準備するよう、指示され、平成24年5月11日付原審被告準備書面(3)では一審被告は主張を整理している。このように一審被告は争点1(1-1及び1-2)に対して、主張立証すべき機会を十分に与えられていたにもかかわらず、それを怠っていたのである。

3 本件契約は地自法96条1項9号に違反する
 被控訴人は、本件契約は、ナイキが控訴人に対して毎年度1700万円を支払うことになっているから「賃貸借契約類似の無体財産権に係る有償双務契約である」として、「負担附きの寄付又は贈与を受けること」に該当しないと主張する。
 しかし、原審も当然に毎年度1700万円を支払う契約内容になっていることを指摘した上で、被告がその対価として、一ネーミングライツライツを付与をすることを承認する義務やイベントの主催者等に対して通称名を使用することを義務づける義務等を負うとしていることをもって、これを義務が「負担」にあたると判断しているのである。
 控訴人も「寄付又は贈与」として取り扱い、裁判においてもそのように主張してきた契約について、違法性が問題になれるや「転貸借契約類似」の契約として取り扱うと主張を変更すること自体が、本件契約が杜撰に、財産負担に関する真剣な検討がされないまま、本件契約が締結されたことの証左である。また、控訴人は、控訴理由書において、毎年1700万円の負担と公園の整備というナイキの負う義務と控訴人の負う義務とが「対価的均衡の関係にある」、あるいは、負担が受贈者の受ける贈与の価値より小さくない旨と主張しているが、その根拠は一切示されていないのであって、そのような主張は失当である。
 本件契約は、「寄付又は贈与を受ける際に、反対給付的な意味において、普通地方公共団体の負担を伴う一定の条件が付され、その条件に基づく義務を履行しない場合は、当該寄付又は贈与が解除される」(乙51)性格のものである以上、原審の判断は正当である。

4 本件契約は地自法234条2項に違反する
 控訴人は、本件契約の内容、性質、目的など諸般の事情から随意契約とすることが認められると主張する。そこであげられている要素は、ナイキというブランドや知名度を活用することが本件契約の目的とされていること、選定委員会を設置したことの2点である。しかし、控訴人の主張は破綻している。
 本件契約締結の前に、ナイキというブランドや知名度を活用することが本件契約の目的とされていたのであれば、それは「選定委員会」の設置や対抗馬としてのFidoの存在が茶番劇であることを自白するのと同じである。
 原審の最終準備書面で詳述したが、控訴人は、2008年2月にナイキを含む2社からの提案を受けた後、同月25日、「渋谷区立宮下公園施設ネーミングライツ選定委員会要綱」を定め、同日中に施行、委員会を同日中に召集し、6名(うち3名は渋谷区役所の部長職)で開催した。そして、ネーミングライツについて公募もせずに、秘密裏に提案があった2社だけを選定の対象として検討を行った。上記委員会が設置されたこと、またその審査結果については、公開されず、議会での報告もなく、都市環境委員会委員である渋谷区議会議員も、翌2009年6月になって、初めてこのような委員会が設置されていたことを知らされている。このような「選定委員会」による選定が競争原理を取り入れたものでなく、一片の公正性も認められないものであることは指摘するまでもない。

第4 結語

したがって、控訴人が主張する部分について、原審判決の事実認定及び判断の誤りは認められず、その範囲において原審判決は相当であるから、本件控訴は棄却されるべきである。

以上
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