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【参考】渋谷警察署による写真撮影、指紋採取に対しての意見書

2008年11月13日に渋谷警察署の警察官が、渋谷駅周辺や宮下公園のホームレスに対して、写真撮影や、指紋採取をしたという事件が起きました。

それに対して、渋谷・野宿者の生活と居住権をかちとる自由連合(のじれん)、対都行動を関う全都野宿労働者行動実行委員会 (全都実)と聖公会・渋谷給食活動グループが抗議声明や要望文を出したことは【参考】写真撮影と追い出しとの関係は?で説明しました。

その他にもホームレス総合相談ネットワークが渋谷警察署に対して「意見書」を出していました。紹介しておきます。(引用開始)

2008年(平成20)年12月17日
ホームレス総合相談ネットワーク
(代表 弁護士 森川文人)
賛同者一同

渋谷警察署 署長殿
                                       意見書

 私たちは、ホームレス問題、貧困問題、生活保護問題に関心を寄せるホームレス状態にある方や生活に困っている方の法律問題について、関東地方を中心に相談活動を行っているホームレス総合法律相談ネットワークの弁護士・司法書士です。
 2008年11月13日以降、警視庁渋谷警察署の警察官が、渋谷駅周辺、渋谷区立宮下公園などで野宿生活を余儀なくされている人々に対し、無差別に職務質問を行い、同意を得ることなく写真撮影、指紋採取を行っている事実が明らかになりました。
 以下に述べるとおり、警察官によるかかる行為は、明らかに違法であることから、速やかに中止することを求めます。

第1 職務質問の違法性

 そもそも、今回の職務質問は職務質問の要件を満たさず違法です。
 警察官職務執行法第2条1項は、「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的な判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又はすでに行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる。」と規定しており、職務質問を行うためには、犯罪行為と関連するような不審事由がなければなりません。
 今回の渋谷警察署の野宿生活者に対する職務質問行為は、渋谷駅周辺、宮下公園周辺などで野宿生活している人々に対して、まさに「野宿生活をしている」という一事を理由に無差別に行われているものであり、到底、上記要件を満たすものではなく違法です。
 当然のことながら、野宿生活者であるという事実のみをもって、上記不審事由を認めることはできません。
 今回の渋谷警察署警察官による職務質問行為は、野宿生活者に対する不当な偏見、差別に基づくものであることは明らかであり違法性は明白です。

第2 指紋押捺行為、写真撮影の違法性、違憲性

1 指紋押捺の強制は許されない
 指紋は、個人情報であり、正当な理由なく指紋の押捺を強制することはプライバシーの権利を侵害する者であり許されません。
 最高裁判所も、みだりに指紋押捺を強制されない自由を認めています(最高裁平成7年12月15日第三小法廷判決、刑集49巻10号842頁)。

2 写真撮影の違法性、違憲性
 個人の容ぼう等をみだりに撮影されない権利は、肖像権として憲法上保障された基本的人権です。
 警察官が、承諾なく、容ぼう等を写真撮影することは憲法13条に反し違憲です。
 最高裁判所も、警察官が、正当な理由もないのに、個人の容ぼう等を撮影することは、憲法一三条の趣旨に反し、許されないと明確に判断しています(京都府学連事件、最高裁昭和44年12月24日大法廷判決、刑集23巻12号1625頁)。

3 渋谷警察署警察官による指紋の収集、写真撮影行為は、違憲、違法である。
 今回の渋谷警察署警察官による指紋の収集行為は、野宿生活者に対して、一律に、写真撮影、指紋の押捺を迫っているものであり、憲法13条及び上記最高裁判例に照らし到底許されるものではありません。
 写真撮影、指紋を収集された方々は、複数の警察官に取り囲まれ、拒否する自由があることを伝えられずに写真撮影、指紋押捺に応じることを余儀なくされたのであり、到底「任意」になされたものとはいえません。
 もし、真に任意の協力を求めるのであれば、拒否する自由があることを明確に告知しなければなりません。法律を知らない者にとっては、警察官から、要求されれば断れないものであると考えるのが通常であります。
 したがって、今回の指紋の収集、写真の撮影が強制されたものであることは明らかです。
 そして、指紋の採取、写真撮影をするに当たり、法的に正当化すべき事情は何ら存在しません。
 渋谷警察署の担当者は、支援団体の関係者に対し、今回の指紋押捺、写真撮影の強制について、あくまで任意であり、野宿生活者が凍死した場合の身元確認のために必要であるから行っているなどと回答し、根拠条文として、刑事訴訟法229条(検視)を挙げています。
 しかしながら、いまだ死亡していない人に対して「検視」するなどということ法的に意味不明という他ありません。
 このような、渋谷警察署の対応は、法的にまったく成り立ち得ないばかりでなく、野宿生活者を「死んでもかまわない存在」「いずれ死亡するかもしれない存在」ととらえ差別ないし蔑視しているものであり、許されません。
 以上の通り、渋谷警察署警察官による今回の指紋押捺、写真撮影の強制は、対象となった野宿生活者の基本的人権を著しく侵害するものであり違憲、違法であるといわざるを得ません。

第3 指紋押捺、写真撮影を速やかに中止し、収集した情報を返還、廃棄することを求めます。

 以上の通り、今回の渋谷警察署警察官による野宿生活者を対象に行われた大規模な職務質問、写真撮影、指紋採取行為の違憲性、違法性は明らかです。
 私たちは、法律専門家として、かかる違法行為を速やかに中止するとともに、収集した指紋、写真などの個人情報を速やかに返還した上廃棄するよう強く求めます。

※最高裁平成7年12月15日第三小法廷判決
「指紋は、指先の紋様であり、それ自体では個人の表生活や人格、思想、信条、良心等個人の内心に関する情報となるものではないが、性質上万人不同性、終生不変性をもつもので、採取された指紋の利用方法次第では個人の私生活あるいはプライバシーが侵害される危険性がある。このような意味で、指紋の押なつ制度は、国民の私生活上の自由と密接な関連をもつものと考えられる。
 憲法一三条は、国民の私生活上の自由が国家権力の行使に対して保護されるべきことを規定していると解されるので、個人の私生活上の自由の一つとして、何人もみだりに指紋の押なつを強制されない自由を有するというべきであり、国家機関が正当な理由もなく指紋の押なつを強制することは、同条の趣旨に反して許されず、また、右の自由の保障は我が国に在留する外国人にも等しく及ぶと解される(最高裁昭和四〇年(あ)第一一八七号同四四年一二月二四日大法廷判決・刑集二三巻一二号一六二五頁、最高裁昭和五〇年(行ッ)第一二〇号同五三年一〇月四日大法廷判決・民集三二巻七号一二二三頁参照)。」(最高裁平成7年12月15日第三小法廷判決、刑集49巻842頁

※最高裁昭和44年12月24日大法廷判決
「ところで、憲法一三条は、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と規定しているのであつて、これは、国民の私生活上の自由が、警察権等の国家権力の行使に対しても保護されるべきことを規定しているものということができる。そして、個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態(以下「容ぼう等」という。)を撮影されない自由を有するものというべきである。
 これを肖像権と称するかどうかは別として、少なくとも、警察官が、正当な理由もないのに、個人の容ぼう等を撮影することは、憲法一三条の趣旨に反し、許されないものといわなければならない。」(京都府学連事件、最高裁44年12月24日大法廷判決、刑集23巻1625頁)

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